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無為に慣れるために

わたしの読書はぼんやりしているから、これはどこかで読んだ気がする…と思っても、それがどこなのか、思い出せることはほとんどない。

 今も、須賀敦子さんの「ユルスナールの靴」の中で、ユルスナールの文章の一部として引用されている内容に既視感を覚え、それが須賀さんの別のエッセイにあったのか、別の誰かの小説、あるいはエッセイにあったのか、思い出せなくてもどかしい。実際に探し出すのはとても無理だ。

 それは、「亡くなる少しまえのころ、母はよく、もうすぐ夜になるという時間に、なにもしないでしずかにじっとしていることがよくあった。そんなとき、彼女は、無為の状態、あるいは闇、にじぶんを慣らそうとしているみたいにも見えた」というもの。
 その情景を思い浮かべたことがあることだけは、確かに覚えている。

by hadadream | 2016-04-06 15:57